豪雨の中で聞いたおばちゃんの記憶

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台風が過ぎ去りカラッ!と晴れるかと思いきや曇天の東京です。こんにちは。石屋のけんすけこと清水健介です。台風の次の日といえばお寺さんや墓地を見回り、破損がないか確認するのがルーティーンです。夕方に雨が強かったけど台風はスピードを早めていっちゃったのかな??とにもかくにも被害が少なくて良かったです。テレビのニュースでは台風の被害が結構あったところも報道されているので心配です。

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イチョウの木から銀杏が落ちていた

さて今日は昨日の話

急遽決まった埋葬の話です。納骨日誌シリーズは実名は当然伏せていますが、人が亡くなって埋葬されるその瞬間を切り取っています。その時、何が起きるかというとその日の天気や参列者の会話、みなさんの雰囲気すべてが亡くなった方の面影や人柄を表すのだとある時ふと思ったからです。

人は自分一人だけ生きているわけでは決してなく、少なからず色々な方との共存によって生きています。そして有名人ではなく一般人だとしても、少なからず周りの人に影響を与えています。それを感じてもらいたいのです。

ある納骨式では大雨でした。なのに参列者の方がみんな笑っている時がありました。

あの人はこんな時まで雨男だったね!って(笑)

故人の人柄ですよね。みんなずぶ濡れにも関わらず爆笑。そんな納骨式もあるのです。

一方で今でも僕の記憶にあるのは、おばあちゃんが泣きながらお米を墓石にぶつけていたのが印象的でした。どのようなことがあったのかな。

くやしかったのかな。

寂しかったのかな。

あの時あの言葉をもらいたかったのかな。

自分がこうしておけばよかったと悔やんでいるのかな。

悲しんでも、悔やんでも亡くなってからでは遅いのです。今できることは今やったほうがいい。同じ納骨式なら皆が笑っているほうがいい。そんな大往生で皆が納得できて笑える亡くなり方って本当に少ないけど、実際にあるんだよね。そういうこと。

8歳の小さい女の子が話してくれた

参列者のお子さんがお塔婆などを運ぶ僕のうしろをちょこちょことついてきてくれました。僕を質問攻めです。普段と違う服を着て、みんなの雰囲気もいつもと違う。小さい子供の頭の中でものすごい色々な考えをグルグルまわして興味津々だったのかもね。

何をこれからするの?

この袋は何?

などかなりの質問をされました。僕からの質問返しで亡くなったお婆ちゃんにはどんな思いでがあるの?と聞いたら

おばあちゃんじゃないよ。おばちゃん。

とまず返ってきまして、これはしまったと思い

「おばちゃんとはどんな思い出があったの?」と質問してみました。

彼女がまっさきに話してくれたのは

おいなりさんを作ってくれた

とのことでした。

あとは遊んでくれて楽しかったことなど色々なことを話してくれました。

あとから聞いたのですが、亡くなられたおばちゃんは身寄りがなく亡くなっていたとのこと。独身だったんですね。身寄りがなかったため親戚の方のお墓へ入ったわけです。

身寄りがなかったとしても、孤独死などどんな亡くなり方をしていたとしても、たぶんあの女の子の記憶にはおいなりさんを作ってくれたオバちゃんという記憶、美味しかった味の記憶がのこっていくのでしょう。

しっかり影響してるんだよね。記憶にのこっているんだから。

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そんなことを考えていたら 陽がさしてきた

明日はお彼岸の中日です。お墓って亡くなった方に会えるところだと思います。あの日の思いでも蘇ってくるかもしれません。あなたも亡くなった方に会いに行きませんか?

それではまた。

この記事を書いた人

清水 健介
清水 健介この記事を書いた人
創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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