亡くなった人に毎日絵を贈ってあげよう。額縁のあるお墓が完成しました。

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こんにちは。石屋のけんすけこと清水健介です。

唐突ですが

額縁のあるお墓が完成しました。

ブログを見てくださっている方の頭の中が

??

はてなマークで頭がいっぱいになっているかと思います。

またけんすけがおかしなこと言いだしたよ…。という声が聞こえてきそうですが

はい。これが額縁のあるお墓です。

??

まぁそうなりますわね。

これはどこに彫ってあるのかといいますと

ここ!

墓所へ入ったどんつきの場所ですね。

はい。このお墓ができるまでは色々なストーリーがありましてさかのぼること数カ月前になるわけです。

ご主人が急死。お墓を作らなくてはいけない。

何気ない一日の始まりでした。急な電話の音で穏やかな空気は破られます。

お電話のお相手はお寺の住職さん。

今どこにいます?お寺にすぐ来れる?

まぁ僕達にはよくあるお電話の内容。僕は「すぐにいきます!15分くらいで」と返事をしましてお寺さんへ向かうわけです。

そこにはあるご家族がいらっしゃいました。お話を聞いてみるとご主人さんが急死され、お墓を作らなくてはいけないとのことでした。ご葬儀等の状況を聞いたところ、葬儀が終わってお寺さんへすぐに来たそうです。49日法要の日程が決まり、お墓を建立するリミットがそこで決定したわけです。

墓所に行ってみますと、外柵はすでにあるとのことでした。これが僕の一番最初に見たお墓の状態。

御親戚どうしで外柵がつながっています。

見た瞬間、僕が思ったのは

あっ これダメだ…。

この感覚でした。

何がダメかと言いますと墓所の裏には塀があるわけなのですが、その塀に沿って墓所が建てられていたので四角形の墓所ではなく斜めになっているんです。台形ということですね。それに伴い塔婆立てが墓所の内側に入って建てられていました。

どのような墓石を建立するにしても塔婆立てより前にお墓を設置しなくてはいけません。

となると…納骨するスペースはおろか、肝心のお墓参りのスペースがほとんどない??

そんなことが瞬時に頭の中をよぎったわけです。亡くなられた旦那さんが生前に打ち合わせをして外柵を建てられたとのことですが、施行石材店もお墓を建てる未来のことまで考えられなかったのかな…。

お施主さんには現状での問題点をお伝えしまして、塔婆立ての位置の変更パターン等いくつかの解決策をお話しました。

僕の頭の中にあったのはどうやったらお墓参りを楽にできるか。どうやればスムーズに墓所に入ることができるかだったわけです。

お話をする中でせっかく作った外柵なのですが、一回取り壊しあらためて設計をし直してお墓参りをしやすくしましょうとご提案をしました。

人は故人に対しお線香、お花を自分であげたいという欲求がある。

これは日々の納骨埋葬の仕事の中で僕が学んできたことです。どんなに足が悪くても、階段が一段も上がれずに這ってでもお線香をあげる光景を何度となく僕は見てきました。故人への思い、偲ぶ、哀悼の念。様々な言い方はあるのだろうけどその欲求があるということを実際に感じたのです。

人が本来持っているその欲求をスムーズに行う事ができるデザインが今回求められました。

今のままだと、手を合わせてお墓参りをする時にスペースが狭くてしんどい。普通より高い階段をあがり、腰をかがめ、後ろのお墓を気にしながらetc…。 そんな姿が見えてしまったからです。

イメージの中では導線はフラットに。石塔の前まで行って手を合わせる。お施主さんの希望を色々いれて…。

頭の中でカチカチとパズルがはまり完成イメージはその場でできてしまいました。

そして完成したのがこのお墓

墓所の入り口はなるべくフラットに。お墓参りをしやすく

??

んん??けんすけ額縁は??

はい。この時点だとまだそうなんですよね…。額縁のアイデアは思いついていませんでした。

このブログでも何回も書いているのですが、お墓というのは周りのお墓の状況に左右されやすいのです。

今回のお墓の場合、まずは外柵が共有だった隣のお墓。この高さを考えなくてはいけない。そして裏手の墓所の高さも考慮にいれなくてはいけない。※写真だと墓所左ともいえるかもしれません。

お墓とは祈りの空間をつくること。

これ僕の考え方の一つです。せっかく作ったのに自分の祈りの世界に入れないというのはよくない。周りが見えてしまったり、今回の場合では裏手の墓所のほうが高かったわけです。なので高さを考慮しないでお墓を作ると、低くて狭く見えてしまったり、裏手の墓所の外柵の石が見えてしまったりする。案外気になるところなんです。できてみるとわからないところなんですがね。なので破たんしないギリギリのラインまで外柵を高くしました。

写真でいうとこれね。

シンメトリー(左右対称)でいうと手前の石も高くしなくてはいけないんですが、そうするとメチャメチャ囲われている気がして窮屈になってしまう。なのであえてアシンメトリー(左右非対称)で石の高さを低くしています。外柵の高さに気をとられずに、すっと石塔へ目が向くようになっていると思います。

はい。まだ額縁でてきません…。

お施主さんからの要望でお花を植えたい。

これはよくあるご要望です。今回お話であったのは墓所の両サイドに対してお花を植えたいということでした。

となりますと 花には当然土が必要なわけです。まぁそれも可能なのですが…。これが意外とやっかいでして皆さん初めにお花を植えたいという思いがあっても年月が経つと離脱していかれる。

雑草だらけ…。墓所が汚くなってしまう…。

この光景が本当に多いです。

なので僕はプランターでお花を置くことをお勧めしています。こんな感じに

砂利の下は水が抜けるようになっている。

今、ホームセンターでは四季折々の花が寄せ植えで売っていたりします。いつも綺麗な状態にできるし、お世話にしんどくなったらどかせばいいんです。

でも今回のお施主さんへの要望もちゃんと答えております。墓所入り口からのどんつきの場所へ小さいですが、花壇をつくりましょうとご提案しました。

はい…。まだ額縁出てこないです…。

設計していましたところ、完成の形はおおよそ見えていたのですが、背面の墓所の目隠しをするため外柵の高さをあえて高めに設定したことによって花壇部分が白い石で間延びしてしまう気がすると思ったのです。

すいません。理屈は特にないです。

感覚です。

そんなことを考えていたらふとイメージがふってきました。

額縁じゃね???

はいでました!!!やっとでましたよーーー!!額縁。

花壇がありまして、何かしらのお花をご家族が植えるわけです。花が咲くまでは芽だったりします。もっと言えば何もなかったりする。でもね花が成長していく過程、そこに漂う空気感でさえ額縁を通して絵にしてあげようと思ったんです。

お施主さんへはこの事も説明しましてこう言いました。

毎日違う絵を旦那さんに贈ってあげましょう。

これが僕の提案ですってね。

お施主さんにもイメージが伝わったんだと思います。その結果、お施主さんはものすごく喜んでくださいました。

素敵!!ぜひ彫ってください!

って

あぁ…提案して良かった。僕の提案がエゴに終わらなくてよかった…と思いました。提案するかどうか頭の中で考えてギリギリだったんです。

形があるからお墓になる。ではなく心の中に死者、故人、ご先祖さんに○○したいからお墓があるわけです。

過度なデザインがいいってわけじゃない。そしてお墓の完成系とか理想なんてわかるもんじゃない。でもね人には考える頭があるんです。遺されたご家族には故人への思いを額縁を通して伝えていっていただければと思います。これが僕の思う『思いのお墓つくり』です。

そんな額縁のあるお墓つくりの話でした。

それではまた!

HP⇒板橋・練馬でお墓を建てたい。墓所リフォームのことなら清水屋

blog⇒石屋のけんすけブログ

ECサイト⇒深川製磁の骨壺や手元供養の商品を取り扱っています

この記事を書いた人

清水 健介
清水 健介この記事を書いた人
創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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