先人のレガシーをどのように遺していくか。

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連日暑いですね。皆さん水分補給ちゃんとされていますか?こんにちわ。石屋のけんすけこと清水健介です。

土日などは霊園やお寺さんでは工事ができないことがほとんどなのですが(お墓参りのお客さんが多く、工事をしていると危険が伴うため)、この梅雨時期で雨が降っていないタイミングを逃せなかったもので土日ともに施行しておりました。僕は工事監督ではありますが、付きっきりだったものでずいぶんと日焼けしております。

最近、僕はこんなお墓のリフォームの仕事をやっていました。

IMGP5228のコピー

リフォーム前 色々な石碑などが混在している。

中央には大きな石碑があり、2名の戒名が彫っており夫婦のお墓として成立しています。周りの石碑をよく見てみるとこんなものもあったり…。

IMG_1539

まだ足りぬ 石をたたいて あの世まで

石碑には凄みが感じられる句まで彫られている…。ご依頼をいただき30分から1時間はこのお墓の前にいてどのような形にしようか思案していたでしょうか。少し調べてみると

まだ足りぬ 踊りおどりて あの世まで

6代目尾上菊五郎1885年(明治18年)8月26日~1949年(昭和24年)7月10日 の辞世の句をもじったのでしょう。

彫ったご先祖の意気込みとこだわりが感じられます。お施主さんのご要望は夫婦墓になっているものを家族が入れるお墓にしていただきたい。これのみ。石碑などは廃棄しても構わないとのこと。実はこのお施主さんのご先祖さんは僕の何世代も前のおじいさんが出た家。遠い親戚で石屋さんだったそうです。僕はその方が遺した仕事と向き合う事になったのです。

さて、突然ですが「連歌」というのをみなさん御存知でしょうか?

連歌(れんが)

その昔 和歌の上の句(五七五)と下の句(七七)をそれぞれ別人が詠むという遊戯的な試みが連歌の起源。最終的には五七五・七七・五七五・七七… と次の句を付けて展開して、おおよそ百句をもって一作品とすることが一般的となったそう。

そう!僕はこのご先祖さんが彫った句の返しの句を「形」で表現しようとしました。またもう一つのテーマとして

レガシー

最近、かっこよくオリンピック関連の報道でよく伝えられている言葉ですね。辞書で意味を調べると「遺産」・「前代の人が残した業績」という意味になります。この業績や作製したものを廃棄するのではなく、後世へ残そうと考えました。そしてその完成がこちらです。

外観図のコピー

ご先祖さんが作ったものは作品のように入り口付近へギャラリーのように配置

バランスには非常に気を使いました。自然石は、

そのものの形が主張する存在です。なので多くあったり、密集していると主張が強くなりすぎてしまう場合があるからです。

IMG_2344

一石五輪塔と石碑はバランスを考えまとめました。

初めはランダムに配置する方法も考えましたが蛇足になると思いシンプルにまとめる方向にしました。

IMG_2342

正面入り口には辞世の句の石碑を配置 黒砂利をひいて色を引き締めました

色々な石碑があり、敷地サイズも十分にある。このようなどのようにでもデザインができる場所こそ難しい。僕の遠い親戚でもあるご先祖さんは満足してくれているかな。

このお墓がお施主さんご家族だけでなくご親族さんとも会話が繋がるように考えて作りました。先人の遺したものを通じて家族の大切さ、命の繋がりなどが次の世代へとつながっていっていただけることを願っております。

この記事を書いた人

清水 健介
清水 健介この記事を書いた人
創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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