笑顔になるお位牌。人には区切りやリスタートするきっかけが必要。

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おはようございます。もうずっと雨が降っている東京です。たった一日だけのお天気の日があり次の日は一転12度…。気温差も10度近くなって厳しいですね。お身体の調子はいかがでしょうか?石屋のけんすけこと清水健介です。

先日、ある方の埋葬を担当させていただきました。その中で「お位牌のご用意はありますか?」と尋ねましたところ、まだ作っていないとのご回答がありうちの会社でお位牌をつくっていただけることになりました。

このお宅では10年前にお墓を建立しています。その後お盆や、お彼岸にお墓参りに会うたびに旦那さんの調子が良くないことや、介護を自分がしっかりやっていること。天気や取りとめもないことですが色々お話をさせていただきました。お墓で会うたびに笑顔で接していただきました。

どこで買うかではなく、誰から買うか

奥様とのそのような時間の積み重ねが今回のご縁につながったのかもしれません。

うちは石材店です。お墓をつくっています。おじいさんの代の時に仏具を扱っていた時期があったそうですがある時を境に取り扱いを休止していたんです。

石屋なのになんで仏具を売ってるの?

以前はこのようなお声もいただきました。でも今はどうでしょうか?スマホやネットが普及し、もはやインフラとなりどこからでも買えるような状態になっています。

そんな昨今、僕はおじいさんの時に止まってしまっていた仏具の販売を再開しました。日ごろの埋葬やお墓を作っていく中で「供養」というものに関してさらに深くかかわっていきたいという気持ちが非常にあるからにほかなりません。またお位牌であれ、お墓であれ大切な人を亡くされた方々が再出発・リスタートするキッカケなのだと思います。そこに携わりたいという強い気持ちがあるからなのです。

昨日ご来店いただいたお客さんはお寺さんへお位牌を問い合わせると結構高いお金を言われたためネットでのお位牌購入となったそうです。

お客さんの印象的な言葉がありました。

葬儀や法事になるといきなり仏教徒になるにわかですから。

うん。これは本当に本音だよね。

実際お寺さんとの関係性が非常によく、普段からなんでも相談できたり親近感が湧いていればお寺さんからの購入にもなった可能性もあったはず。今は本当に誰から買うかが重要ってことなんですね。

さて、今回お位牌を作らさせていただいたお客さんは福島製の蓮華付春日呂色というものを選んでいただきました。以前作ったお位牌と同じ形、同じ大きさです。

出来上がりを見て僕はお位牌にうっとりしました。

漆の色や研磨による光沢、どれもが吸い込まれるように綺麗で完成したものを見たときに「良かった…」と思ったものです。自分でも納得がいくもの。そして美しいと素直に思ったから「良かった」という思いが出たのだと思います。

曲線もなめらか

呂色というのは素材の木に対して何回も下地を塗り、漆を塗り重ね、研磨をする工程をとります。その結果漆黒というわけではなく僕には青味がかった光を放っているように思いました。「吸い込まれるような」という表現がぴったし。

金箔の仕上げも美しい。

さて、そんなお位牌を納品に行きます。おうちに入りますと奥の部屋へ通されます。ちょうど10年前でしょうか。お墓を建立いただくときに亡くなられた旦那さんにプレゼンをさせていただいたお部屋です。

奥様にお茶を出していただき、生前の旦那さんのことや普段の生活のこと、色々話させていただきました。

いよいよお位牌を引渡します。

お見せすると。

奥様は深々と頭を下げられまして

大変立派なものをありがとうございました。これでおとうさんも安心できたと思います。

と笑顔でお言葉をいただきました。

ジーン…

僕の心の感情を表現するとこれしかありません。

お位牌を大切そうに奥様はさすっていました。そのあとに

大きさじゃないんです。いいものができたか、できていないかなんです。

僕は本当に良かったと思いました。そしてちょっと納品後に緊張しました。いいものを見抜く目というのを程度の差こそあれ人は持っています。

光沢

今までの奥様の人生の中で沢山の綺麗なものを旦那さんと一緒に見てきたのだと思います。能登半島の漆、青森の津軽塗、九州の有田焼… その鍛えられて目に認められた一言でした。

帰りがけに、次は私たちのですね。その時はよろしくお願いいたしますと自分が亡くなった後の夫婦位牌を生前予約させていただきました。

僕は笑顔で

長生きしてくださいよ。またお墓で会いましょう

と笑顔でおうちを後にしました。

人に会って心が洗われるような気持ちになったのは久々です。

このようなご縁を重ねていければと思います。

石屋のけんすけ。

お位牌もけんすけ。

それではまた。

HP⇒お墓参りの時にみんなが笑顔になるようなお墓の提案をします。清水屋のホームページ

blog⇒僕の日常や料理のこと、もちろんお墓のことを書いています。石屋のけんすけブログ

ウェブショップ⇒深川製磁の骨壺や手元供養の商品を取り扱っています

この記事を書いた人

清水 健介
清水 健介この記事を書いた人
創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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