字彫りのはなし。お墓は地域によって異なる

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戒名の字彫りって?

昨日の東京はめちゃくちゃ暑く花粉が相当飛んでいたみたいですね。数年前花粉症と診断されたのですが、この数年まだ症状はでていません。おはようございます。石屋のけんすけこと清水屋5代目予定の清水健介です。自己紹介についてはこちらをご覧ください。

腸内環境をよくすれば花粉症は治るとか言ったりしますが、どうなんでしょうね?理由はよくわからないのですが、黒酢もずくを夕飯には飲んでいます。それが僕の習慣。これが効いてるのか??

さて、僕は石屋さんなので専門的な話も少し。昨日、大学時代の友人から連絡があり字彫りについての質問でした。石塔の正面に○○家之墓と彫ってあるものではなく、今回は石塔の側面もしくは横に建っているプレート型の墓誌(法名碑)に彫る戒名の話しです。

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彫り方は2パターンあると思います。

  • 職人による手彫り
  • サンドブラストによる彫刻方法

昔は当然ながら職人さんが手で彫っていました。うちもそうでした。が…その職人さんがいなくなると

その文字は失われてしまう。

つまりは機械がやっているのではないのでクセがどうしても出てしまうのです。お墓は引き継がれていくものですので、戒名を追加で彫っていく時に違う職人だとどうしてもバラバラ感がでてしまう。似たような文字を彫れる職人さんが複数いればいいのだけどそれもなかなか難しい。そのような中でうちの会社もサンドブラストの彫刻方法へと移っていきました。

たまに戒名の追加を頼まれた時にすべて手彫りでやっているお墓にいくことがあります。手彫りは一発勝負です。なのでセンターのラインが曲がっていたり、間隔が?なこともあります。途中修正ができないのでそのままやるっきゃないって感じだったのでしょう…。その後に追加戒名を彫る時は正直厳しい…。こっちはまっすぐな原稿なので。

たぶん石材店さんによって、地域によってこの文字彫刻の方法は意見が分かれるところだと思います。

色って入れるの?

この話しも地域差がめっちゃでます。

東京板橋、練馬で仕事をやっている僕のところは

  • 白系の石 → 白系の石 細かい字彫りは見えずらいので白ペンキ、黒ペンキを入れる。
  • 黒系の石 → 字彫りは見えやすいのであまり入れないけどいれるなら白ペンキ。

宗旨によっては戒名に青い文字を入れるところも見たことがあります。僕の母の実家は佐賀県なのですが、正面文字には金伯が入っています。戒名にも入ってたかな…。ちょっと記憶があいまいです。

結局地域によって色々で正解はない。

ただ、友人の質問は戒名を彫るとその切削面から水が染みて石がダメになるからペンキを入れるという説明を石材店からうけたとの話しでした。

あくまで僕の見解ですが、それくらいではダメにならないのでは?と思っています。

ただ、地域によってものすごく水を吸ってしまう石を墓石にする地域ではそういう慣習があるのかなと考えていました。イギリスみたいに年中雨が降っている地域と年中晴れているところでは石の劣化は違いますしね。その地域の天候によっても経年変化の度合いは違うと思います。海が近いとかね。

※お墓の石は硬く、水を吸いにくいのが必ずしもいいとは限りません。つまり昔は今のように輸送が容易でなかったためその土地の石を使っていたからです。なので地元の石が水を吸うからって必ずしもNOということは言えません。

良品質・高スペック ≠ いいお墓

つくる人の気持ち・故人への想いを込める = いいお墓

と僕は思います。

今でも江戸時代のお墓は多く残っています、当時は当然やわらかい石質です。でも文字は今でも見えるんですよね。その時の人達の気持ちが伝わってきます。

彫ってあげて供養してあげることが一番大事な意味を持つとあらためて思った出来ごとでした。

この記事を書いた人

清水 健介
清水 健介この記事を書いた人
創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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